大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)240号 判決

被控訴人羽賀は生田明に対し、同被控訴人のため他から金融を受けることを依頼して、権利証及び印章を渡したのであるから、生田明には、被控訴人羽賀のため他から金融を受けることについては、同人を代理する権限があつたものと認められるのであつて、生田明が、大和食産株式会社の控訴会社に対する債務を担保するため、本件土地につき抵当権を設定したのは、右代理権限を越えた行為である。しかし、原審及び当審証人小田七蔵及び同行木巍の証言によると、生田明は、右抵当権設定の際、本件土地権利証被控訴人羽賀の印鑑証明書及び印章等を控訴会社に持参し、小田七蔵の立会の下に、控訴会社の社員行木巍に対し、「これらの書類や印章は使つてよいと羽賀の承諾を得てきた。」と明言し、その場で、念書(乙第一号証)の被控訴人羽賀の名下に捺印して、これを、右権利証、委任状及び印鑑証明書と共に、差し入れたので、行木巍は、生田明に、右抵当権設定につき、被控訴人羽賀を代理する権限があるものと信じて同人との間に、右抵当権設定の契約をするにいたつたことが認められるのである。してみると、行木巍が生田明にこのような権限があると信ずるについては、正当な事由があつたものということができるから、被控訴人羽賀は、生田明が代理権限を越えてした右抵当権設定について、その責に任すべきであり、従つて、控訴会社は、大和食産株式会社に対する債権を担保するため、本件土地につき抵当権を取得したものといわなければならない。

(角村 菊池 吉田豊)

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